無料-
出会い-
花-
キャッシング
・・・・・あこがれ ・・・・・
夏の午後。
25メートルプールの端っこでようやく足が届くようになった僕は
近所に住むふたつ年上の幼馴染に手をひかれて泳ぎの練習をしていた。
「ねぇ、これできる?」
そう言いながら、彼女は水面の中へスーっと消えた。
僕はあわてて水面に顔をつける。
彼女の身体はゆらゆらと木の葉のように揺れながら沈んでいき・・・
やがてプールの底にたどり着くと
両手を広げたまま仰向けにまっすぐ横になった。
髪が水藻のように揺れているほかは
まるで眠ってしまったように目を閉じたまま動かない。
やわらかな曲線をすべる水の影。
色白の肌がなおさら透き通るような白さに見えた。
・・・きれい・・・
僕は居た堪れなくて、水の中へもぐっていた。
彼女と同じように・・・
彼女のそばへ・・・
けれど、
僕の身体はなぜか上へ引っ張られるように浮いてしまい、
たった1メートル程のプールの底までたどり着けない。
彼女に近づこうとすればするほど、不恰好に水をかき乱すだけで。
彼女は水の底から、そんな僕を見て微笑んだ。
近くて遠い微笑だった。
[PR]動画